279005 ランダム
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ぽれぽれ

長い一日

午前4時前。病院の裏口から入る。

『こちらへどうぞ』
LDR室へ案内された。病室とは思えない!
『きれいやね~』やや挙動不審…

前処置が終わり、パジャマに着替えた。
『赤ちゃんがおりてきやすいように病院内や部屋を歩いてもいいからね。
 自由にくつろいでね』
そう言われた。

陣痛の並が10分間隔でくるけど、まだ平気。
深呼吸してたくさん酸素を送ってあげると赤ちゃんも楽だと聞いた。

間隔が狭くなってきた。

その後、両親がきた。
父はそういう場面に弱い。
『あとは任せたぞ』と夫に告げ、部屋を出ようとする。
『あなたっ、娘がこんなに苦しんでいるのに~』
母に責められる。

しかし、これからが長かった。

『何かあったら電話してね』
けっきょく、両親は帰ってしまった。

夫の両親にも電話した。生まれたらすぐにかけつけるよと
話をしていたが、どうも今日中に生まれる具合ではない。

すでに病院に入って14時間過ぎた。
初産での平均は12~15時間らしい。

『順調に陣痛はきているから頑張ろう』と助産婦さん。
さすがに痛みが辛い。

体重増加が原因かな?余計な肉がついて赤ちゃん出られんのかな?
いろいろと考える。

『痛い』を言わない約束を夫としていた。
夫は私をメソメソ泣きべしと言う。
ココロの中では『夫を見返してやるぞ~。母は強しよっ』
とヘンな意地があった。

絶対、叫んだりしないぞ~と誓っていた。
それに産後、頑張ったら何でも食べたいものを買ってきてくれるとも
約束していたからだ(笑)

陣痛の波を深呼吸でながす。
助産婦さんに教えていただいた方法で夫も陣痛といっしょに
腰をさすってくれた。

すでに24時間過ぎた。
陣痛の間隔が2~3分。その間に睡魔に負けてウトウト。
夫もソファでウトウト。

『きたきたっ!!』陣痛がきたら、夫は飛び起き、マッサージ。
その繰り返しが何時間も続く。
今、思えば夫も辛かっただろうな。
脱臼していた手で一生懸命さすってくれたから。
感謝、感謝である。

お互い、不眠と疲労でクタクタになってきてた。
私は意識がモウロウとしていたらしい。

『ふっ、二人目は無痛分娩でお願い~』
『いや、まずオナカの一人目生んでくれ』

『ま、ま、毎日、きてあげるからね…ウゥゥ~』
『それは俺のセリフやろ』

『俺、トイレ行くから。しばらく、頑張れよ』
『置いていかんで~』
『無茶なこというなよ』

寝ぼけていた。

翌日の午前3時頃。24時間が過ぎた。
『破水した!?』
まだ子宮口全開じゃないのに~

この後はあまりよく覚えていない。
間隔なしで陣痛の波がくる…

ただひたすら部屋の時計の秒針を見つめていたような気がする…

イラスト3




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